理系学問では様々な「単位」が出てきますね。
単位についての理解は理系学問の理解に深くつながると思っています。
是非知っておいてもらいたい事をまとめます。
基本となる単位
まず基本となる単位を見ていきましょう。
数量 | 単位 |
---|---|
長さ | メートル(m) |
質量 | キログラム(kg) |
時間 | 秒(s) |
これらの単位は「m」とか「s」とか「kg」とか、1つの軸しかない単位です。
こういう単位はもうズバリそのものの解釈しかできません。
これらの単位は何故生まれたのか?
私はこれらの単位が生まれたときに生きていませんので正しくは知りません。
ただ、これらが何故便利なのかはわかっています。
それは他人とその数量が表す概念について共通の認識を持てるという事です。
オーダーメイドで服を作ってもらうとしましょう。
手の長さを測ってもらいます。
Aさんが親指から小指の長さで測りました。
ちょうど2.5回分でした。
それを聞いた服を作るBさんが2.5回分の長さで服の長さを決めました。
Aさんの親指から小指の長さとBさんの親指から小指の長さは違いますね。
ぶかぶかな服が出来上がってしまいました。
あるえらい方が決めました。
「我の鼻先から親指までの距離を1NAS(ナス)という単位にしよう」
1NASの長さの定規を作り100分割して0.01NASを測定できるようになりました。
これでAさんが測った0.8NASをもとに、Bさんが0.8NASの長さで服を作りました。
ちょうどいい服が出来上がりました。
めでたしめでたし。
超便利ですね。
ちなみに1NASなんて単位無いですからね?
組合せでできた単位
少し複雑な単位を見ていきましょう。
数量 | 単位 |
---|---|
面積 | 平方メートル() |
体積 | 立方メートル() |
速さ | メートル毎秒(m/s) |
密度 | キログラム毎立方メートル() |
力 | ニュートン() |
圧力 | パスカル() |
これらの単位は「m/s」とか、「」とか、複数の軸が組み合わせられてできた単位です。
例えば速さという数量は「m/s」ですが、「1秒あたりに1m進む速さが1m/sで表せる」という事です。
1m/sは2秒であれば1mを2回ですから2m進んでいます。
この計算は、
ですね。
ハジキとか、ミハジとか何やら沢山覚え方がありますが、単位に着目しましょう。
単位も掛け算割り算し、約分し、新しい単位として数量を表せるんですね。
速さという数量の概念が
「どのくらいの時間でどれだけ進むか」
という時間と距離を軸にした単位である事を理解できますか?
これが理解できるかどうかで、大幅に理系学問の理解度が変わりますよ。
密度という数量の概念は、
「どのくらいの体積の中に、どれだけ質量が詰まっているか」
です。
圧力という数量の概念は、
「どのくらいの面積の中に、どれだけの力が掛かっているか」
です。
難しいのは力です。
「」
1kgに1の加速度を与える力が1Nです。
10Nは10kgに1の加速度を与える力と言えます。
あるいは1kgに10の加速度を与える力とも言えます。
これが組合せで作られる単位の面白い所です。
10Nの力を1kgに与えれば10の加速度を与えることができる。
10Nの力を10kgに与えれば1の加速度を与えることができる。
式を覚えなくても良いですからね?
のを消せばです。
をで割ればになるということです。
同じように、
1kgのものに10の加速度を与えるためには10Nの力が必要です。
にを掛ければになるな、という考えです。
10kgのものに1の加速度を与えるためには10Nの力が必要です。
以下も同じように考えてみてください。
10Nで10の加速度を与えることができる質量は1kgです。
10Nで1の加速度を与えることができる質量は10kgです。
SI接頭詞と少し変わった単位
ところで長さと言えばメートル(m)だけでは無いですね?
センチメートル(cm)もキロメートル(km)もミリメートル(mm)もあります。
メートルのmに、センチのcやキロのkがくっついただけです。
このcやkをSI接頭詞と言います。
余りにも大きい数字とか小さい数字使うの大変だから、使いやすい桁で共通認識しちゃおうよってことで、出来たんだと思っています。
センチは倍、ミリは倍、キロは1000倍という意味になります。
1mは100cmであり1000mmであり、0.001kmになります。
さて、では次の単位はどのように理解すればいいでしょうか?
数量 | 単位 |
---|---|
面積 | 平方センチメートル() |
面積 | 平方キロメートル() |
面積 | アール() |
面積 | ヘクタール() | 体積 | 立方センチメートル() | 体積 | リットル() |
速さ | キロメートル毎時(km/h) |
平方センチメートルとはです。
になります。
平方メートルという面積の単位を、と理解できていれば問題なくこのような計算をすることができるでしょう。
さらに、「円の面積の公式何だっけ?半径×πだっけ?」みたいな事が起きません。
半径×πは単位がmですから長さの単位です。
とはいえ「直径×直径×π」みたいなことをしてしまうと間違えてはしまいますが。
さて次はリットルやアールを考えてみましょう。
私はある覚え方をしてから間違えないようになりました。
まずリットルから見てみます。
です。
このままではとても覚えにくい・・・。
このように考えてみてください。
位のサイコロの体積となれば想像しやすいと思います。
訳も分からずでは覚えられませんが、これなら覚えやすくないですか?
ちなみに生まれた理由を考えてみましょう。
そもそもという単位は結構大きな体積です。
勝手な想像ばかりで恐縮ですが、理科の実験をこれで行うのは少ししんどい。
という単位でもやはり少し小さい。
手ごろなサイズはだと思うんです。
じゃあこれに単位つけちゃおうよ、という話です。
後は具体的な身近なものの体積と結び付けておくのも良いですよ。
ペットボトルは500ml、つまり0.5lです。
の半分、まあそんな感じですよね?
次にアールですがです。
やはりこれもわかりにくいと思うかもしれません。
このように考えてみてください。
位の面積となれば想像しやすいと思います。
リットルと同じく、これくらいの面積が恐らく田畑等の面積として使いやすかったのではないでしょうか。
最後に時速についても触れておきます。
基本的な考え方は同じです。
ただ、という少し特殊な比になる点に注意してください。
という事はです。
60km/hという時速60キロメートルはになります。
日常生活を単位で見てみる
ここでは余り見る事の無い日常的な単位を考えてみます。
数量 | 単位 |
---|---|
1日の食事回数 | 回/日 |
1回の食事の摂取カロリー | kcal/回 |
1日の消費カロリー | kcal/日 |
カロリーあたりの質量 | kcal/kg |
カロリーあたりの質量は、1kgの脂肪は9000kcalと言われていたりします。
単位で書くと9000kcal/kgになります。
私は1日3食頂いております。
食事の回数は3回/日です。
1回の食事の摂取カロリーは正直不明ですが700kcalにしておきましょうか。
食事の摂取カロリーは700kcal/回です。
1日の消費カロリーも正直不明ですが4000kcalにしておきましょうか。
消費カロリーは4000kcal/日
さて、この生活をつづけた場合どうなるか?
3回/日×700kcal/回-4000kcal/日=-1900kcal/日
なんと毎日1900kcalも消費が上回っています。
-1900kcal/日÷9000kcal/kg=-0.21kg/日
毎日0.21kg減少する事がわかりました。
このように単位を正しく扱えると、いろんな計算式を作ることができます。
とても便利です。
終わりに
単位にまつわる話をまとめてみました。
計算問題等で誤った計算をしにくくなると思います。
お役に立ててもらえたら嬉しいです!