ゲーム感覚で遊んでもらえたら良いかなと思います。
そのためルールを簡単にしているので、実際には例外で成り立たない場合もあります。
原子と分子
「酸素」とか「二酸化炭素」は人が呼吸をするときに使うのでなじみがあると思います。
このときの「酸素」や「二酸化炭素」は分子です。
「二酸化炭素」は名前の通り、『酸素』と『炭素』でできています。
このときの『酸素』や『炭素』は原子の意味での酸素や炭素です。
この原子の『酸素』と分子の「酸素」は何が違うのか?
原子の『酸素』は原子の『炭素』とくっついて、分子の「二酸化炭素」になっています。
分子の「酸素」は原子の『酸素』同士がくっついて、分子の「酸素」になっています。
原子の『酸素』はパズルのピースとしての『酸素』です。
分子の「酸素」はパズルを組み立てて出来上がった絵としての「酸素」です。
パズル
さて、このパズルなのですが、パズルを完成させるためにはそのルールを知らないと遊べません。
少しルールを説明します。
- 原子というピースは電子を持っている
- 電子は例外を除き、各原子が8つの電子を持つことで安定し、分子となって完成する
- 原子は他の原子と電子を共有させることができる
- 原子が他の原子と電子を共有させるとき、互いに同じ数を出し合う
- ただし1つの電子が共有できる相手は1つの原子に限る
ちなみに例外は『水素』と『ヘリウム』は電子数2で安定します。
どのように電子を共有しているか考えるパズルです。
このパズルゲーム面白そうじゃないです?
例
どんなゲームも導入があります。
いくつか例を見てみましょう。
二酸化炭素
このパズルは2つの『酸素』原子と、1つの『炭素』原子のピースでできています。
『炭素』は電子を4つ持っています。
※他に内側に2つ持っていて本当は合計6個何ですけどね。
『酸素A』『酸素B』は電子をそれぞれ6つ持っています。
※酸素も他に内側に2つ持っていて本当は合計8個何ですけどね。
こんな状況です。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|
炭素 | 4 | – | – | 4 |
酸素A | 6 | – | – | 6 |
酸素B | 6 | – | – | 6 |
さて、このパズルを完成しようと思うとどうなるか?
『酸素A』は電子が2つ足りないですね。
『炭素』か『酸素B』から電子を2つ共有させましょう。
『炭素』と電子を共有すると、『炭素』も2つ『酸素A』から電子を共有されます。
次のような状態になります。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|
炭素 | 4 | 酸素A:2 | – | 6 |
酸素A | 6 | 炭素:2 | – | 8 |
酸素B | 6 | – | – | 6 |
『酸素A』は8つになりました。
残りの『炭素』と『酸素B』を見てみましょう。
『炭素』は電子が2つ足りないですね。
さらに『炭素』と『酸素B』で2つの電子を共有させましょう。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|
炭素 | 4 | 酸素A:2 | 酸素B:2 | 8 |
酸素A | 6 | 炭素:2 | – | 8 |
酸素B | 6 | 炭素:2 | – | 8 |
条件を満たしました!
図で書くとこんなイメージになります。
酸素
このパズルは2つの『酸素』原子のピースでできています。
『酸素A』『酸素B』は電子をそれぞれ6つ持っていました。
こんな状況です。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|
酸素A | 6 | – | – | 6 |
酸素B | 6 | – | – | 6 |
『酸素A』は電子が2つ足りないですね。
『酸素B』から電子を2つ共有させましょう。
次のような状態になります。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|
酸素A | 6 | 酸素B:2 | – | 8 |
酸素B | 6 | 酸素A:2 | – | 8 |
『酸素A』も『酸素B』も8つになりました。
図で書くとこんなイメージになります。
ただ、「酸素」は実はすこし違った結合をしているようです。
中学校、高校ではこの理解で問題ないと思います。
ただ、少し省略した考え方になっていて、厳密には違っているという事だけ覚えておいていただけると良いのかなと思います。
周期表
パズルで遊ぶときにピースの情報が無いと遊べません。
『酸素』は電子6個、『炭素』は電子4個という情報です。
これは周期表を見るとわかります。
各原子が列を整えて並べられていますね?
この列を族と言います。
水素のある左端の列が第1族元素と言います。
この列に属する原子は電子を1つ持っています。
左から2列目が第2族元素と言い、電子は2つです。
少し隙間があって、ホウ素(B)から始まる列が第13族元素になります。
これは電子3つです。
あとは右にずれるごとに1つずつ増えていきます。
炭素が第14族元素で電子4つ、窒素が第15族元素で電子5つ、酸素が第16族元素で電子6つ、フッ素が第17族元素で電子7つ、ネオンが第18族元素で電子8つです。
本当は酸素は電子を8つ持っているという話をしました。
内側に2つの枠があるので、その2を引いて外側が6つになります。
この電子の数がそのまま原子番号になっています。
原子番号が10より大きくなると、更に外側に8つの枠が作られ、パズルのピースはそこで共有をします。
そのため、一番外側の電子を考えてパズルを組み立てていきましょう。
実践
塩化水素
別名塩酸です。
塩化水素なので、『塩素』と『水素』でできていそうですね。
周期表を見てそれぞれの電子数を確認してみましょう。
『塩素』は原子番号17番で、電子を7つ持っています。
『水素』は原子番号1番で、電子を1つ持っています。
『塩素』原子の電子1つと『水素』原子の電子1つを共有しましょう。
すると塩素は電子8つ、水素は電子2つになりますね。
水素は例外で電子2つで安定します。
アンモニア
「アンモニア」は3個の『水素』と1個『窒素』で出来ています。
周期表を見てそれぞれの電子数を確認してみましょう。
『窒素』は原子番号7番で、電子を5つ持っています。
『水素』は原子番号1番で、電子を1つ持っています。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
窒素 | 5 | – | – | – | 5 |
水素A | 1 | – | – | – | 1 |
水素B | 1 | – | – | – | 1 |
水素C | 1 | – | – | – | 1 |
窒素と各水素で共有しましょう。
原子 | 電子 | 共有先:数 | 共有先:数 | 共有先:数 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
窒素 | 5 | 水素A:1 | 水素B:1 | 水素C:1 | 8 |
水素A | 1 | 窒素:1 | – | – | 2 |
水素B | 1 | 窒素:1 | – | – | 2 |
水素C | 1 | 窒素:1 | – | – | 2 |
これでちょうど安定しました。
終わりに
色々な分子で考えてみてください。
「水酸化ナトリウム」は『水素』と『酸素』と『ナトリウム』が1個ずつです。
「硫酸」は『水素』2個、『酸素』4個、『硫黄』1個です。
「過酸化水素」は『酸素』2個、『水素』2個です。
「エタノール」は、『炭素』2個、『水素』6個、『酸素』1個です。
ただ、中には「酸素」のような例外もあります。
「硝酸」等はこのルールではちょっと説明できません。
化学的に正しい正しくないではなく、ゲーム感覚のパズルとして遊んでもらうと良いのかなと思います。
そうすることで電離式や化学反応式に親しみやすくなると思います。