教科書ってよくできているなと思います。
賛否両論ありますけどね。
教科書の特徴
教科書は文部科学省の検定を受けているか文部科学省が作ったものになります。
だから「完璧!」というわけではないですが、でも「使い物にならない」ものではないと思っています。
特徴を理解する事で、うまく付き合うことができるようになるんじゃないかなと思います。
薄くて濃い
学習する内容というのは学習指導要領で決められています。
教科書はそれを網羅しています。
内容を全て理解すれば基本的に問題が解けるようになっています。
これってすごい事ですよ。
数学の教科書はだいぶ薄く小さいです。
その薄くて小さい教科書さえ理解できればいいんです。
それだけ内容は濃く、省略されている部分があるってことですけどね。
「少ない量を理解する事で全て網羅できる」
そう捉えてみると良いのかなと思います。
問題を解くための準備
教科書を理解する事が出来ても問題を解けないというのも現実です。
矛盾したことを書いてすみません。
教科書は「問題を解く最低限の知識を備えることができる」という意味です。
その知識を使えるかどうかはまた別の訓練が必要かもしれません。
教科書には例題の解説はそれなりに記載されています。
しかし、多くの問題では解答しか記載されていません。
これは「教科書ガイド」なる解説が別冊で販売されていたりします。
これを学校の教材として配布するところは節約されているんでしょう。
本来学校の授業で解説がされるはずですからね。
※されないとそれは教科書そのものとは別の問題と言えるでしょう
そして問題のパターンとしてはやはりその薄さからそれほど多くは無いです。
入試問題等を安定して解けるようになるためには、やはり問題集の問題で訓練をする必要はあるのだと思います。
それが数学の力になるのかと言われると、少し疑問はありますけどね。
教科書と上手に付き合う
この2点を踏まえてうまく教科書と付き合っていけると良いと思います。
行間を埋める
丁寧に書かれていますが、やはり省略されている記述もあります。
というか、学習済みの内容はほぼカットされています。
言い換えれば既に習っている事を補足できなければ理解できないように作られています。
これがわかりにくいと言われる原因ではないでしょうか。
少し教科書の内容を確認してみるだけでもこんな説明になっています。
との交点の座標を求めてみましょう。
の通る点は方程式の解になっていました。
の通る点も方程式の解になっています。
交点の座標は、2つの方程式の共通の解になっています。
そのため交点の座標は、連立方程式
の解になります。問:交点の座標を求めなさい。
- (直前で説明していますが)方程式の解がグラフの通る点であること
- 2つの方程式の共通な解が連立方程式の解であること
- 連立方程式の解の求め方
これらがわかっていないとこの説明を理解し、問題を解く事はできません。
あまり考えずに「交点と言えば連立方程式」という事を覚える事はできるかもしれませんが。
・・・①
・・・②
の連立方程式を解いてみましょう。
①-②を計算すると
・・・③
③を①に代入して
答え:
細かい計算は省略できるとして、①-②の計算がどういう意味なのか。
なのでとすればでもあるわけです。
も同様とすればでもあるわけです。
を2つの表し方で左辺同士、右辺同士でそれぞれ計算したものが①-②です。
等式の性質としてのとき、という性質も習っています。
と思って、の左辺はを右辺はを代入しても良いかもしれません。
これを使うとひっ算のような計算ができる事がわかります。
ただ教科書を見ただけではいきなりひっ算で計算しています。
これを過去学んだことから補う必要があるわけです。
ちなみに①-②の意図もその計算の直前には書かれていません。
①+②じゃなく、①-2×②でもなく、①-②である理由。
もちろんxを消去するためです。
そしてxが消えてくれさえすれば、yの一次方程式になり、解を求める事が出来る。
これはその単元の見出しが
2つの方程式から文字を1つだけ含む方程式を作る方法を考えてみよう
みたいになっているので、ちゃんと読んでいれば気付けるようになっています。
でも当然と言えば当然だと思います。
ここで再び「連立方程式の解の求め方は」とか解説しだしてしまうと教科書は相当厚くなるでしょう。
解説で「計算の意図」を全て書いても膨大な解説になってしまいます。
極端な例で言えば、掛け算が出る度に九九の表を載せたりしないですよね。
巻末に九九の表が載っていたりもしないですよね。
一度学んだ事は基本的に当たり前の事実とされるんです。
行間は無く、授業や自分で補う必要がある事を抑えて、教科書と付き合いましょう。
すべての内容を九九並に理解できていれば補足なんてしなくていいわけですよね。
ちょっとでもわからないところがあればそれは解消しておくべきです。
書かれている事を1つ1つ九九並に理解する事が教科書を使って学ぶ上で求められます。
九九並とかすごく曖昧な表現を使ってしまって恐縮ですがニュアンスは伝わりますよね?
教科書に説明不足な点があると感じたら、教科書に補足をしておく事をおすすめします。
その補足さえあれば、教科書の内容を全て理解できる状態にできますからね。
本質を見抜く
数列の漸化式の解き方の解説は教科書では僅か2,3ページです。
※顕著だと思う例が数列なので、学ぶ時期は高校2年生位と遅いのですが数列で解説しています
某問題集を見ると12ページありました。
4~6倍使っています。
漸化式はのような形をしています。
により解き方を工夫する必要があります。
そこで色々な解き方を問題集では紹介しています。
しかし本質的にはある形を目指した変形をしているだけです。
教科書はこの本質的なある形に対しての解説のみなんですね。
だからボリュームに差が出ます。
少し細かくなりますが数列の漸化式の例で話を進めさせていただくと、
漸化式 | 数列のタイプ |
---|---|
等差数列 | |
等比数列 | |
が階差数列の一般項 | |
pのn乗に関する項と定数項 |
の4パターンのいずれかに帰着させます。
※帰着させる経緯で数列のタイプはnの多項式が現れたり変化します。
例えばみたいな漸化式は、が邪魔です。
※この行間は何故だかわかります?
これを消すようにで割ります。
もうあと少し感が出ていますね。
とするとで
※最後の式変形は説明するうえでの変形で、実際の解答には不要かもしれません。
これは4パターンの最後の形です。
教科書に「で割る」ような問題の解き方は掛かれていないかもしれません。
しかし、「4パターンの考え方にいかに帰着させるのか」という変形の部分は、数列の問題ではないんですね。
もちろん数列を学ばないと、どのように変形したら良いかわからないと思いますが。
数式をいかに変形するかは、中学1年生の等式の変形で学んでいます。
この過去の知識を活用し問題を教科書の知識で解ける状態に変える事が「応用」と言われる部分なのかなと思います。
問題集を使って色々なタイプの問題に挑戦し、わからない問題の解法を理解する。
試験に強い勉強方法だと思います。
ただ問題集を解いていても、中々本質には気が付きにくいんじゃないかなと思います。
教科書から本質を積み重ねていく方法も取り入れてほしいなと思うわけです。
「なんでこの問題は教科書に書かれていないんだろう?」
教科書さえ理解できていれば答えを求める事ができる理由があると思います。
それを考えてみるのも良いと思います。
まとめ
ちょっと話を逸らしてわかりにくくなっている部分もあるのでまとめておきたいと思います。
教科書の特徴 | |
---|---|
薄くて濃い | 省略されている部分がある 少ない量を理解する事で全て網羅できる |
問題を解くための準備 | 問題を解く最低限の知識を備えることができる 問題のパターンは限定的で問題集はあったほうが良い |
教科書と上手に付き合う | 行間を埋める | 行間は書かれていないものである前提で付き合う 補足さえあれば、教科書の内容を全て理解できる状態にしておく 書かれている事を1つ1つ九九並に理解する |
本質を見抜く | 教科書の知識で解ける状態に問題を変える事を考える 問題集の問題が教科書に書かれていない理由にヒントがある |
そして教科書のみではどうしても問題のパターンは不足する面はあります。
教科書の知識で解ける状態に持っていくパターンが少ないという事です。
問題集を使って色々な問題に触れておく必要があるでしょう。
教科書の行間を全て理解できているか確認しながら進めてほしいなと思います。
初見で解ける問題が増えてナルシスト勉強法のように楽しく勉強できると思います。
終わりに
日々の学校の授業に合わせて教科書の内容は行間まで理解できていることが理想だと思います。
一気にやろうと思うと、一科目なわけじゃないし、とてもしんどいですからね。