与えられた二次不等式を満たす解の範囲を求める問題です。
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基本問題
積の正負を利用する解き方
与えられた二次不等式の各項を左辺に移行して、二次式が0よりも大きい、もしくは0より小さいという形に変形します。
二次式を因数分解して、二つの一次式の積の形に表します。
二つの一次式が正と正の組み合わせ、もしくは負と負の組み合わせのとき、二次式は正になります。
二つの一次式が正と負の組み合わせのとき、二次式は負になります。
解説
を変形して、
で考えます。
加法減法した結果が負という性質は、数学では少し扱いづらいです。
そこで左辺を因数分解すると積の形で表すことができますが、積が負という性質は、数学では扱いやすい形になります。
それは、2数の積が負のとき、いずれかが正で、いずれかが負という組み合わせになるからです。
という事で因数分解します。
これが負と正になるという事は、
という事になります。
ちなみには明らかですよね。
なので、という組合せは不要です。
を直して、
です。
なお、条件はかつで結ばれていることを意識しておきましょう。
も同様です。
を変形して、
で考えます。
2数の積が正という事は、正と正の組み合わせ以外に、負と負という組み合わせがあることに気を付けてください。
正かつ正、または、負かつ負という条件です。
または、
または、
これは、または、
という事になります。
つまり、です。
も同様に因数分解します。
となり、二乗が
以下という形になりました。
二乗は正になるわけですから解として二乗がになる
を求めるわけです。
ですね。
が解になります。
も同様に因数分解します。
となり、二乗が
より大きいという形になりました。
注意すべき点はより大きいです。
二乗は正になるわけですから解として二乗がになる
以外を求めるわけです。
ですね。
、
以外のすべての
が解になります。
二次関数を利用する解き方
与えられた二次不等式の各項を左辺に移行して、二次式が0よりも大きい、もしくは0より小さいという形に変形するところまで同じです。
左辺の二次式は二次関数ですね。
二次関数が正になる範囲、負になる範囲を求める事になります。
解説
ここまで同じ流れで進めましょう。
さて、二次関数のグラフはの係数で上に凸か下に凸かが決まります。
今、この二次関数のグラフは下に凸です。
次に二次関数のグラフが
軸と交わるのは
の二次方程式の解です。
二次関数のグラフは解を境に正負が切り替わります。
問題に戻りますが、下に凸のグラフが以下となる
は、二つの解に挟まれた区間です。
二つの解はですから、
です。
も同様です。
になります。
下に凸のグラフが以上となる
は、二つの解の外側の区間です。
二つの解はですから、
です。
も
も同様に因数分解します。
それぞれとなります。
重解ですからで
軸に接します。
(3)の場合、軸を含み下側に来る点は
のみですね。
(4)の場合、軸を含まず上側に来る点は
以外ですね。
応用問題
色々作れる訳ですが、二次不等式の解が与えられている場合を考えてみましょう。
「二次不等式の解が
となるような
を求める」
という問題を考えてみましょう。
解き方
まずは問題に書いてある事を整理して答えを導く数学の解き方の王道で解いてみましょう。
基本問題で取り上げた二次関数を使った二次不等式の解き方をベースとしてみます。
解説
まず得られる情報を整理します。
で場合分けが必要
は二次関数で見たときに
によって上に凸なのか、下に凸なのかが変わる
- 解は、
- 不等式は
未満という形ですから、上に凸であれば解に挟まれた区間、下に凸であれば解の外側
- 解が
という事は、解に挟まれた区間
さて、これらの情報から考えを進めてみましょう。
まず1.からを考えてみましょう。
の解が
単調に増加する一次関数が負となる範囲が、挟まれた区間になるのはおかしいですね。
したがって、です。
4.5.から、上に凸であることがわかりますね。
2.から、であることがわかりました。
なので解の分母は正です。
3.5.からになります。
これを変形してみましょう。
つまりなので、
、
がわかりました。
を使って、
から
を求めましょう。
になり、
となって、
が答えです。
二次関数を求める方法を使った解き方
二次関数はの形ですから、3変数が決まるとその式が決まります。
3変数を求めるためには少なくとも3つの式が必要です。
問題では、の形ですから、2つの式があれば二次関数を求める事ができますね。
解説
二次不等式の解がという事は、二次関数
の正負が
で切り替わるという事です。
つまりが解を持つとすれば
になります。
例えばこれらを代入して、
これを解いて、という求め方があります。
あるいは、という積の形で書けるはずですから恒等式の考えで求める事ができます。
が得られます。
ただしこのやり方の場合、解がという事は言えないですね。
解がという可能性があります。
したがってこの方針で解答を書く場合、この点には触れる必要があります。
※マークシートで答えだけ書く場合はこのやり方でだいぶ楽できますね。
求めた答えのをもとの式に代入し、
の解が
であることに言及しましょう。
ここまで計算ができていればすぐに言及できると思いますし、端折って簡潔に述べるだけでも十分です。
ただしそのわずかな手間を惜しんで言及しなければ減点されると思います。
終わりに
二次不等式の問題は不等式を解く方法としてベースとなります。
関数⇒方程式⇒不等式⇒最大値は王道の流れです。
不等式が解けないと、各関数の不等式の問題で解けなくなってしまいます。
不等式さえ解ければ、各関数の性質から導いた不等式を解けばよいので、ずいぶん解きやすくなるはずです。