絶対値の入った方程式と不等式の解を求める問題です。
基本問題
(1)の解を求めなさい。
(2)の解を求めなさい。
解き方
絶対値の中に文字が含まれている場合、絶対値の値は当たり前ですが文字によって変わりますね。
絶対値を求める場合、という様に絶対値の中の値が正か負かでその外し方が異なります。
困ってしまいますね。
そんな悩みを解決してくれるのが「場合分け」です。
「絶対値の中が正のとき」はこうなる、「絶対値の中が負のとき」はこうなる、と分けて考えればいいんです。
一気に難易度が下がりますね。
超良い奴です、場合分け。
場合分けを使わなくても解くことはできます。
方程式の場合はのような変形ですね。
不等式の場合はのような変形です。
でもこの形に変形できなければ使えませんので、場合分けを使えるようになった方が良いと思います。
解説
(1)の解を求めなさい。
絶対値の中に文字なので場合分けします。
絶対値の中が正という式、絶対値の中が負という式、で場合分けします。
のときすなわち
絶対値を外します。
場合分けの条件から、ですからですね。
(i)として場合分けした条件のときを考えています。
は条件を満たしていますね。
のときすなわち
絶対値を外します。
として、負の値は-1倍することで正の値になって、絶対値になります。
場合分けの条件から、ですからですね。
(ii)として場合分けした条件のときを考えています。
は条件を満たしていますね。
最後の仕上げです。
場合分けをしていますがこの二つの値は解になりうるのでしょうか?
文字は特に条件が無ければ、どんな値でも取っていいわけです。
-3をとってもいいし、-2をとってもいいし、1をとってもいいし、0でもいいんですね。
-3を取ったら、(ii)の条件で考えて解になりますね。
-2を取ったら、(ii)の条件で考えて解になりません。
0を取ったら、(i)の条件で考えて解になりません。
1を取ったら、(i)の条件で考えて解になります。
-3,1以外だったら(i)(ii)どちらの条件になっても解になりえませんね。
基本的に場合分けしたときは「または」で解をつなげましょう。
基本的にというのは、例えば起こりえない条件を除くような「前提条件を付けた場合」があります。
そもそも起こりえない条件は解の対象に含める必要が無いので、解として考える事すら不要ですね。
これは場合分けとは言いませんが、誤解の無いよう補足させていただきました。
よって解はになります。
(2)の解を求めなさい。
今度は不等式です。
方程式のときと違うのは不等号になっている点のみです。
同じように進めていきます。
のときすなわち
絶対値を外します。
(i)として場合分けした条件のときを考えています。
この条件との共通部分をとって、
のときすなわち
絶対値を外します。
(ii)として場合分けした条件のときを考えています。
この条件との共通部分をとって、
場合分けしたときは「または」で解をつなげましたね。
よって解はになります。
あたりで確かめておけると安心です。
にそれぞれ代入して
整理して確かに解ではないですね。
整理して確かに解ですね。
整理して確かに解ですね。
整理して確かに解ではないですね。
応用問題
(1)の解を求めなさい。
(2)の解を求めなさい。
解き方
絶対値ごとに場合分けして文字の定義域を複数の区間に区切ります。
解説
(1)の解を求めなさい。
それぞれの絶対値の中が正か負か決まるよう、場合分けします。
なので、を整理してです。
で数直線を分断するイメージです。
なので、を整理してです。
で数直線を分断するイメージです。
の3つに場合分けをすればいいですね。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、、です。
場合分けの条件と共通部分をとって、になります。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、です。
場合分けの条件と共通部分をとって、になります。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、、です。
場合分けの条件と共通部分をとって、になります。
それぞれの解を縫合します。
答えです。
(2)の解を求めなさい。
それぞれの絶対値の中が正か負か決まるよう、場合分けします。
なので、を整理してです。
で数直線を分断するイメージです。
なので、を整理してです。
で数直線を分断するイメージです。
の3つに場合分けをすればいいですね。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、、です。
場合分けの条件と共通部分をとって、解なしになります。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、です。
左辺から文字xが無くなりました。
左辺は文字xによらず(もちろん場合分けの条件に限られるわけですが)一定の2になるわけです。
そしてその左辺2が、右辺の2になるときというのは、いつでも成り立っている正しい式です。
によらず、常に成り立つんですね。
言い換えれば、(∞はとても大きい数と思って頂ければ)のような不等式がこの条件から得られる不等式の解になります。
場合分けの条件と共通部分をとって、になります。
の場合
です。
の絶対値を外すと、です。
整理すると、、、です。
場合分けの条件と共通部分をとって、になります。
それぞれの解を縫合します。
答えです。
終わりに
絶対値が出てきたら場合分けすると絶対値を外すことができます。
問題がぐっと解きやすくなります。