一次関数の性質を使って傾きや切片を答えたり、変域を答えたり、交点を答えたりする問題です。
グラフを描いていませんが、グラフを描いてイメージしてください。
基本問題
(1)の傾きと切片を答えよ
(2)のの変域がのときのの変域を答えよ
(3)傾きがで、を通る直線の式を答えよ
(4)との交点を求めよ
解き方
一次関数はで表されます。
傾きと切片のが決まれば、一次関数が決まります。
傾きはの増加量との増加量で表されます。
切片は軸の交点の座標成分です。
交点と言えば連立方程式で、二つの式の連立方程式を解きます。
解説
(1)の傾きと切片を答えよ
即答しましょう。
の係数が傾きなので、傾きはです。
定数部分が切片なので、切片はです。
(2)のの変域がのときのの変域を答えよ
変域を答える問題はグラフを描いて与えられた変域で切り取るとわかりやすいと思います。
また、傾きが正か負かというのも重要です。
傾きが正であれば右肩上がり、負であれば右肩下がりです。
傾きが正のとき、の変域の小さいほうで最小値、の変域の大きいほうで最大値を取ります。
問題を解きましょう。
のときのが最小値になります。
のときのが最大値になります。
よって、の変域はです。
(3)傾きがで、を通る直線の式を答えよ
傾きがなので、で表されるはずですね。
を通るそうなので、代入してみましょう。
ということで、直線の式はです。
(4)との交点を求めよ
交点の前に、グラフの点とは何か思い出しましょう。
のグラフの点は、を満たしています。
つまりこの2つ変数をもつ方程式の解ですね。
(方程式が1つに対し変数が2つあるので)方程式の解はいくつも存在します。
全部方程式の解です。
では交点とは何か?
二つの方程式の解の「共通するもの」です。
言い換えると、「交点は2つの方程式の共通解」ですね。
さて、2つの方程式の共通解って何だったか。
そうです。
連立方程式の解です。
交点は連立方程式を解けばいいんですね。
では問題です。
「との交点」でした。
連立方程式を解く方法は2つありました。
代入法と加減法です。
二つの方法に共通するものは「片方の文字を消すこと」でした。
という事で、片方の文字を消します。
が代入法ですぐに消えそうですね。
をに代入しましょう。
がわかりましたのでにの値を代入してを求めると、
したがって交点は、になります。
応用問題
(1)を通る直線の式を答えよ
(2)と軸、軸に囲まれた図形の面積を答えよ
(3)一片がの正方形がある。
点がを出発して秒速1センチメートルでの順に動く。
点がを出発して秒後のの面積をとする。
をの式で表しなさい。
解き方
(1),(2)は基本問題の積み重ねです。
(3)は動点の問題です。
動点の問題はいかにして文字で長さ等を表すことができるかにかかっています。
知りたい情報を文字式で表す方法を考えましょう。
解説
(1)を通る直線の式を答えよ
やり方は2つあります。
連立方程式を使った解き方と、直線の性質を使った解き方です。
まず連立方程式を使った解き方です。
直線の式をとしましょう。
この直線の式が2点を通るという事なので代入します。
・・・①
・・・②
の方程式が2つ得られましたので、連立方程式を解けばよいですね。
解ければなんでもいいのですが、②-①を計算します。
得られたを①に代入してを求めると
よって直線の式は、になります。
次に直線の性質を使った解き方です。
を通るという事で、2点から傾きを求めます。
傾きはの増加量との増加量で表されます。
の増加量はで、の増加量はです。
したがって、傾きはです。
後は基本問題(3)の解き方でも良いですし、連立方程式のが求められた続きからでもいいです。
今回はもう少し直線の性質を使ってみましょう。
を通りますが、傾きを使って切片が求まりますね。
です。
よって直線の式は、になります。
(2)と軸、軸に囲まれた図形の面積を答えよ
関数と図形の混合問題です。
しかし、図形と言っても三角形の面積ですから、ほぼ関数の問題になります。
グラフを描いて、どの部分の面積を求めればよいかイメージしましょう。
さて、グラフが描けたら三角形の面積を求めれば良いことがわかりますね?
と軸の交点を、軸の交点をとしましょう。
が底辺、が高さの三角形の面積ですね。
これは、点がわかればそれぞれの長さがわかります。
という事で点を求めましょう。
点は切片からすぐにわかりますね。
です。
点は直線上のの点ですね。
を代入して、を解き、だとわかります。
長さは大きいほうから小さい方を引いて求める事ができます。
という事で、底辺が、高さがです。
つまり面積は、です。
(3)をの式で表しなさい。
このように点が動く問題は動点の問題と呼ばれています。
二次方程式以降も出てきますから、考え方はしっかりと理解しておきたいですね。
動点の問題は点の動きに合わせて場合分けをしましょう。
場合分けは問題を簡単にしてくれます。
点がを動くときと、を動くときでは、動き方が違っていますよね?
これを分けずに考えると訳が分かりません。
なので場合分けして考えます。
このとき、変域も一緒に考えていきます。
上にいる場合
まずは直角三角形になります。
底辺と高さもわかりやすいです。
で表すことができますね。
後はをを使った式、もしくは定数で表すことができればの式で表せます。
次に変域ですね。
が上にいるの条件です。
出発してから、4秒後までですね。
つまり、です。
ですね。
は秒後にからどれだけ進んだ位置にいるのか?
早さが秒速1センチメートルでしたから、ですね。
という事で、
で表すことができます。
上にいる場合
まずは底辺が、高さがの三角形になります。
底辺と高さが固定です。
で表すことができますね。
ですから、で表すことができます。
によらず一定という事です。
次に変域ですね。
が上にいるの条件です。
4秒後にに到着してに到着する8秒後までですね。
つまり、です。
上にいる場合
ここからが動点の問題の本丸です。
まずは直角三角形になります。
で表すことができますね。
は固定ですがはどう表すことができるでしょうか?
ポイントははを出発したときからの時間という点です。
がわからなければがわかっているので、がわかればを求める事ができますね?
上のときのように「だ!」と考えると間違ってしまうので気をつけましょう。
何故間違うのか?
はを出発したときからの時間だからですね。
がを出発するとき、既にです。
がを出発する段階でですから、です。
ではどう考えるか?
四角形で考えるから下に行ったり横に行ったり上に行ったりして難しいんですね。
四角形を直線に展開しましょう。
のような直線です。
の長さは、の長さからを引けばいいですね。
になります。
になります。
というわけです。
さあ、もう少しでゴールです。
ですから、と表すことができます。
残りは変域ですね。
が上にいるの条件です。
8秒後にに到着してに到着する12秒後までですね。
つまり、です。
上にいる場合
三角形がつぶれてしまいますから、
、になります。
まとめると
のとき
のとき
のとき
のとき
です。
さて、一個だけ重要な注意点の補足と確認ポイントをご説明いたします。
まず注意点の補足です。
を複数の変域に区切りましたが、元々の範囲であるをすっぽり覆えるようにしてください。
どこか僅かな区間や一点でも抜けていると減点です。
そして確認ポイントです。
各場合分けのつなぎ目の三角形は連続的に変化していますね?
こういう場合、つなぎ目で面積が一致するはずです。
のとき、で一致しています。
のとき、で一致しています。
のとき、で一致しています。
100点や高得点を目指すためには、念のため確かめておくと良いでしょう。
終わりに
一次関数は関数の中の基礎です。
傾きという考えや、交点という考えを学ぶのには良い材料になります。
また、図形と関数を結びつける問題も出てきます。
色々な要素が詰まっています。
終わりの終わりに
動点の問題を図も使わずに解説するという暴挙に出ましたがいかがでしょうか?
「図が無いと何言っているのかわかんない!」というご意見がありましたら優先的に図をつけたいと思いますのでご連絡ください。