三角比に与えられた条件から、角を求めるタイプの問題です。
ちなみに図をご用意できていませんが、必ず図を描きながらイメージしてください。
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基本問題
のとき、次の等式を満たすを求めなさい。
よくある解き方
(1)のの場合は軸に平行な直線
を引き、(2)のの場合は軸に平行な直線
を引いて、単位円の交点(複数ある可能性に注意)の軸からの角を求めるやり方がありますね。
解説
まず(1)の問題の意味を確認すると、
「となるは何か?」
という意味ですね。
「」となるを求めます。
さて、ってそもそも何だったか思い出しましょう。
の直角三角形のとき、とすると、
でした。
解き方にあると単位円の交点を考えてみます。
まずは明らかですので、の求め方を考えます。
から軸におろした交点をとし、(は原点)としましょう。
直角三角形ですから斜辺の長さは、ですね。
そして単位円は半径1ですから、となり、はわかっていますから、を求める事ができます。
となりますが、を忘れないでください。
となるような直角三角形の角を求めましょう。
このとき、問題で与えられているを考慮します。
数学Ⅰの段階では、角の候補は、のいずれかです。
数学Ⅱになっても、せいぜい(は整数)ずれる程度ですね。
そのため、に該当する三角形か、三角形がつぶれてしまっているはずです。
今回は、で、ですね。
交点の座標まで求める必要はない
交点まで求める解説をさせていただきましたが、特に交点まで求めなくてもを求める事はできます。
ポイントはに該当する三角形か、つぶれた三角形になるかという点です。
のどの三角形と一致するかに着目しましょう。
解説
でしたが、斜辺がで高さがの直角三角形をイメージします。
から徐々にに近づけていき、を探します。
がということで、縦長になりそうですね。
そうやってのの三角形であると気づければ答えです。
この考え方は特に単位円を使いませんので、を必ずしもにしなくても良いです。
気を付けなければならないのは、だけでなく、も解になっている点です。
三角関数のグラフが役に立つ
数学Ⅰではまだここまでやりません。
数学Ⅱで三角関数のグラフの単元でのグラフを習います。
条件のがのように広くなった場合はグラフも思い出すと良いです。
解説
(1)のは見方を変えると、
とのグラフの交点ですね。
という事でグラフを描いて交点を探します。
条件がのように広くなった場合は、解が漏れがちです。
しかしグラフを描いて条件の範囲で切ってあげると、交点を探す際に漏れや過剰になりにくいです。
ただし、解自体は上記のような従来の求め方で求める必要があります。
応用問題(混じった三角比)
のとき、次の等式を満たすを求めなさい。
解き方
が混じっていると難しいんですね。
いずれかに消えていただきます。
邪魔なものに消えて頂くのは数学の解法の王道です。
解説
2つの消し方があります。
1つは数学Ⅰの三角関係の相互関係を使います。
ですね。
今回の問題ではこちらを使い、
で置換します。
もう1つは数学Ⅱの加法定理等を用います。
から得られる公式があります。
また、の三角関数の合成の公式ですね。
これらを使う事でのいずれかに消えていただきます。
さて、問題に戻りましてで置換します。
基本問題はが1次の三角方程式でした。
今回は2次になっているので、二次方程式の解き方を思い出しましょう。
因数分解や解の公式を用いる事で、1次方程式の問題に帰着するか、そのまま解を求めることができましたね。
というわけで因数分解してみましょう。
つまり、のいずれかであればよいわけです。
を解きます。
基本問題の三角方程式の形になりましたね。
応用問題は基本問題の寄せ集めです。
応用問題(角がずれている)
のとき、次の等式を満たすを求めなさい。
※数学Ⅱで角を一般角として拡張する必要があり、数学Ⅰでは出てこないと思います。
※本当はを使いたいんです。
解き方
がずれているとこれもややこしくなります。
やはり邪魔なずれに消えていただきましょう。
この場合は等として置換して考える方法が良いと思います。
解説
として置換します。
条件となるもずれることに注意しましょう。
三角方程式の方も置換して解を求めます。
(は整数)
条件となる範囲に当てはまる解は、となり、1つだけです。
置換を元に戻して答えましょう。
終わりに
関数⇒方程式⇒不等式⇒最大値は王道の流れです。
方程式を解けなければ不等式を解くことはできません。
逆に三角方程式が解けて、基本となる不等式の考え方さえわかれば(少しだけ三角比の性質を思い出すと)三角不等式の問題も解くことができます。